時間と共に消え去ってしまう音楽というもの、音というものを、なんとかつなぎ留めることは出来ないのだろうかということで、録音という技術が発明された。録音し、それを再生することに初めて成功したのはエジソンだが、ここではエジソンの天才については言及しない。初めて録音して再生したのは「メリーさんのひつじ」だというお話も残っている。そう、人間が「録音」という技術を手にして最初に行ったのは音楽を録音するということ。それほど音楽は人間にとって近しいものなんだな。一旦発明されると技術はどんどん進み、とにかくには20世紀初頭にはオーケストラ録音までもが始まった。音楽が録音再生できる時代になったということは、音楽が根本的に身近になったことを意味する。それまでは、音楽会に行ったり、お祭りがあったりしなければ聞けなかった音楽というものが手軽に聴けるということになった。自分で楽器を奏でなければ聴けなかった音楽が、家庭でも聴くことができるようになった。しかし音楽再生機器は当然べらぼうに高価なものだったので、今の時代では当たり前のBGMなんていうものは、限られた場所でしかあり得なかっただろう。そう。世の中は静かだったんだ。