様々な音楽が存在するが、芸術と呼ぶべき音楽は厳然と聳え立っている。パッケージ化しているとはいえ、それらの音楽に触れることは至上の喜びである。芸術家たる作曲家が心血を注いで作り上げ、名のある演奏家が渾身の技術を持って演奏し、録音技師が己の能力の全てを使ってパッケージした作品と言えるものがCDでありDVDでありそのコンテンツなんだ。音楽の、そのままでの芸術的価値は当然として、現代の音楽のパッケージ化を考えると、そこにはさらに多くの人の才能と努力が詰め込まれている。そういう状態で、音楽は我々の手元までやってきてくれるようになった。さあ、我々はそれを音に戻さなければならない。昔マーラーが言った。「音楽は楽譜の中には無い。それは演奏を待たなければならない」そう。とんでもなく素晴らしい音楽芸術があったとしても、最後にそれを音に戻す、音楽芸術を完成させるのはわれわれひとりひとりにまかされているのだ。 オーディオなどというものは、本来そういうものだと考える。もちろん趣味としてのオーディオの在り方もあるが、音楽を再生するという第一義を考えれば、作曲家の音楽にかける意気込みや、演奏家の才能を十全に聴きとるのがいわば使命と考えるべきで、趣味なんていう生易しいもので良いはずがない。シロートである我々がどこまで出来るかはさておいて、少なくともその再生が自分に任されている以上、自分の全ての能力、才能、言ってみれば知力も財力も、そのすべてをつぎ込んで取り組むべきものであると、そう私は考えるし、そうしてきた。芸術たる音楽に対してのそれが私の姿勢なんだ。