衝撃的なその日、その他の絵については全く覚えていない。会場に入って角を曲がったところまでしか覚えていない。いろいろ観たはずなんだが覚えていない。パンフレットも買ってない。絵画展やコンサートで必ずプログラムを買うようになったのはそのあとのことだもんな。よってどんな絵だったかははっきりとは説明できない。何かの花を描いたものだったことは確かではあるけど。今の世の中だから、検索して探していけばその絵にはたどり着けると思う。私の聞いた情報も、不確かかもしれないしね。一度だけ検索したことがあった。結局たどり着けなかったけど、途中でやめた。もし検索してたどりついてしまったら、がっかりしてしまうのは目に見えているから。私にとって大切なのは、あの日のあの時の感覚、感情、衝撃なのであって、複製画を見て懐かしむものではないから。 この複製画というのも非常に問題なんだな。最近は、複製画の質も非常に上がったとは聞いている。でも、本物とは全く違うものなんだ。自分自身の経験から言っても、複製画では本物の魅力の百万分の一の魅力も伝えられていないと断言する。例えば、ルノアールの「ピアノに寄る少女たち」なんていう絵がある。誰でも知ってるだろう有名な絵だ。当然私などでも知っていたから、わざわざ観に行くのもおっくだなと思っていたが、本物を観て、それこそ腰を抜かすほどびっくりした。本物の持つ力、時を経ても輝き続ける力というものは計り知れない。